スウェーデン滞在日誌(11/03)



昨日に引き続き博物館巡り。

この日に行ったのはストックホルム市街の東の方、 ユールゴーデン島の対岸にある博物館群。 ここには 海洋博物館(Sjoehistoriska Museum)、 科学技術博物館(Tekniska Museet)、 通信博物館(Telemuseum)、 民俗博物館(Folkens Museum)がある。

このあたりには地下鉄が走っていないので、 KistaからT-Centralenに出た後、 路線を乗り換えて一番近いKarlaplan駅に行き、 そこから歩いた。 思ったより遠く、時間が掛かってしまったので、 素直にT-Centralenからバスに乗った方が速かっただろう。 バス停なら科学技術博物館のすぐ前にあったし。


海洋博物館 艦載用と思しき大砲群

最初に入ったのは海洋博物館。 外には大きな錨や大砲、マストなどが並んでいた。

内部に展示してあったのは、 軍用・民間用を問わず大量の船の模型。 あとは工具など造船技術に関する展示や、沈没船から発掘された遺物など。 変わったところではイッカクの全身骨格標本と、人魚のミイラがあった。 こんなものがあるのは日本のどこかの寺ぐらいかと思っていたが……。 なぜかヴァーサ号のバラスト石も置いてあった。

それほど貴重、もしくは保存に気を使うような展示品はなさそうだったが、 なぜか写真撮影は禁止。 他の博物館ではあまり見ない警備員まで見回っていた。 ということでここも内部の写真はなし。 人魚のミイラの写真を撮りたかったのだが……。


科学技術博物館

続いて科学技術博物館に入る。 入り口の脇にある謎のオブジェは、何のパーツなのか、 巨大な鉄骨が上に載った車ごと輪切りになっている。

クラシックな車や自転車 蒸気機関いろいろ

一階の格納庫のような大部屋には、 自動車、機関車、自転車などの乗り物や正体不明の大型機械が並び、 天井からは飛行機やオートジャイロが吊り下がっている。

怪ロボット

基本的には技術・工業史に関する真面目な展示がならんでいるのだが、 中にはこういう怪ロボットが立っていたりもする。

採掘の様子

地下に降りると鉱業に関する展示があり、 金、銀、銅、錫、など各種金属の製品が陳列してある。 こういうところにも剣や鎧が混ざっているのはお国柄か。 さらに降りていくと、昔の鉱山の様子が再現してある。

ノーベルの服 ノーベルの書庫

上のほうの階に上がると、ノーベルに関するものを集めた部屋があった。 写真はノーベルの服と書庫。立ててある本もノーベルの蔵書らしい。

ガルバーニの実験

カエルの足を使ったガルバーニの実験は有名だが、 この絵や模型を見ると足が妙にでかい。食用ガエルだったのか? これだけ大きいと楽に解剖できそうだが。

もしかすると西洋ではカエルの解剖も、 日本の学校のようにトノサマガエルでちまちまやるのではなく、 こういう巨大なカエルを貼り付けてやっていたのだろうか。

通信博物館

通信博物館は科学技術博物館と繋がっていて、入場料も共通になっている。 ここには電話やテレビ、無線など通信関連のものが集めてある。

謎の楽譜

「電話ポルカ」なる謎の曲。

冗談のようなキーボード

これは通信機かなにからしいが、入力装置が笑える。


続いてすぐ隣の民俗博物館に入る。

ちょうどメキシコをテーマにしたイベントの日だったらしく、 ホールで民族衣装を着た人たちが踊っていたり、 通路に机を並べて民芸品を販売していたりした。 メキシコだけに、民芸品はガイコツグッズだらけ。

昼を過ぎていたので昼食を取ろうとカフェに入る。 スウェーデンではたいていの博物館にカフェが併設されていて、 最低でもセルフサービスの飲み物とマフィン類、 少し大きなところだと昼食ぐらいは食べられる。 定番のメニューしかおいていないところが多いが、 ここは各地の民族料理が食べられるらしい。 部屋の一角は畳敷きになっているし、 飲み物にコーヒーや紅茶と並んでチャイがある。 この日の日替わりメニューには 「死人も踊りだすスープ」とかいうめちゃくちゃ怪しいものがあった。 どこの国の料理だ。

通信博物館のカフェは人が少なかったが、ここはメニューが珍しいせいか、 恐ろしく混んでいる。 しょうがないのでチャイとケーキを買って、相席で簡単に済ませる。 チャイはコーヒーと同様、 ポットからセルフサービスで注ぐという大雑把な提供方法だったが、 もの自体はただのミルクティーではなく、香料の入った本格的な作り方だった。

腹ごしらえが済んだので館内を回る。 地域や民族ごとに、衣類や道具、工芸品などが陳列してある。 日本のコーナーもあり、漆器や人形などが置いてあった。

ヘディン 楼蘭の遺物

ヘディンが集めたらしい、楼蘭などの遺物。そういえばこの人も スウェーデン人だった。

トーテムポール

巨大なトーテムポール。

世にも珍しい喫煙するワニ

直立してパイプをくわえたワニの剥製と、シマウマの脚の電気スタンド。 狩られて普通の剥製や敷物にされるならまだしも、 こんなわけのわからないアイテムにされたのでは、ワニやシマウマも浮かばれまい。

怪しい仮面 ムック?

アフリカあたりとおぼしきコーナーには、怪しい仮面があったり、 ポンキッキのムックかナウシカのヒドラみたいなものが立っていたり。

なぜかバイオリンとAK-47S(もちろん銃器の見分けなどつかないが、 ちゃんと機種が書いてあった)までガラスケースの中に展示してあった。 どういう由来のものなのやら。


カクネス塔

民俗博物館を出た時点で15:30を過ぎていた。

少し離れたところにカクネス塔が建っている。 高さ155mのテレビ塔で、展望台がある。 時間があればここにも回るつもりだったが、 すでに暗くなりかけているので景色はよく見えないだろうと思い、 登るのを断念。

残り時間で行けそうなのは、 17:00まで開館の(先日一部しか回れなかった)歴史博物館か、 少し遠いが19:00までの自然史博物館(Naturhistoriska Riksmuseet)か。 移動時間を考慮すると歴史博物館を見学するには微妙な時間だったので、 自然史博物館に向かう。

グスタフ=アドルフ教会

まずはKarlaplanまで戻る。 途中、歴史博物館の側にあるグスタフ=アドルフ教会(Gustav Adolfs kyrka) の脇を通ったので、写真だけ撮っておく。 Karlaplanから地下鉄でUniversitetetへ。


自然史博物館

Universitetet駅から自然史博物館までは徒歩で5分ほど。 このあたりの地図はないのですぐに博物館が見つかるか心配だったが、 あちこちに「自然史博物館はこっち」という札が出ていたので簡単にたどり着けた。

ティラノサウルス イグアノドン

とりあえず古生物の展示室に行く。 中央にティラノサウルスとイグアノドンの全身骨格が立ち、 周りには三葉虫や魚介類、植物など、 大量の化石のコレクションが並んでいる。

部屋の壁は水族館の水槽のようにガラス張りで、 中に古代の生態系を再現したジオラマがいくつも並んでいた。 多くのジオラマは海の中の魚や茂みの中の爬虫類といったものだが、 中には樹にとまった巨大昆虫という悪趣味なものも。

ヨロイリュウ? クビナガリュウ

大物の全身骨格標本では、ほかにヨロイリュウとおぼしきものがあったり、 天井からクビナガリュウがぶら下がっていたり。

イクチオサウルス? イクチオサウルス?の頭部

非常に状態の良いイクチオサウルス?の全身骨格。

ウナギの化石 ザリガニ?

ウナギやザリガニ(?)の化石があるあたりが、 微妙にスウェーデンらしい……化石自体は外国産だが。

マンモス オオツノシカ?

隣の部屋は新生代の生き物の展示室らしく、 マンモスやオオツノシカ(?)の全身骨格が立っている。

大型哺乳類の化石

ほかにも、正体不明の大型哺乳類の全身骨格があった。

この部屋もけっこう広く、 各時代の人類の様子を実物大で再現したジオラマがいくつか置いてある。 全身骨格ではない化石も大量に収集されており、 マンモスの歯や皮膚、 サイやキリン(?)やカバ(?)などの頭骨や顎の骨などが並んでいた。

続いて、隣にある極地探検の展示室に入る。

テーマ的にそれほど期待するものはなかったのだが、 とりあえず部屋を見回したら……

オオウミガラス

こんなところにオオウミガラス(絶滅種)が。 実物(剥製だが)は初めて見たので、ちょっと感動。 オオウミガラスとウミガラス!(謎)。

ステラーダイカイギュウの遺骨(涙) 一角獣の角

ほかにも、同じく絶滅種であるステラーダイカイギュウの骨片があったり、 一角獣の角などという代物が飾ってあったり(もちろんイッカクの牙だが)と、 なかなか侮れない展示室だ。

あとは北極オオカミの剥製やゾウアザラシの頭骨、 鳥など極地に住む小動物の標本、南極で見つかった化石などが並んでいる。

鯨の全身骨格

極地展示室の奥にある大ホールは、 鯨の全身骨格が複数並んでいて迫力がある。

ステラーダイカイギュウの骨

写真で手前に写っている巨大な背骨は、 ステラーダイカイギュウのものらしい。 後ろの全身骨格も形はカイギュウっぽいのだが、 ステラーダイカイギュウは体長10mぐらいらしいので、小さすぎる。 子供のものか、あるいは本物ではなく縮小模型か。

近くには、ペンギン、アザラシ、シロクマなど、 極地の動物の剥製や骨格標本などが展示してある。

2階に上がり、いくつかある展示室に適当に入ると、 魚の剥製やら水槽やらが並んでいた。どうやら水生生物の展示室らしい。。

ダイオウイカ

ルルイエで眠るクトゥルフ……もとい、(たぶん)ダイオウイカの標本。 頭部のアップ写真もあるが、かなりグロテスクなのでリンクは自粛。 どうしても見たい人は画像のファイル名から類推されたし。

Goesの正体

先日切り身で食べたGoesという白身魚は、こういう奴(写真中央)らしい。 期待に反して(?)意外とまっとうな姿をしている。

ほかにも海鳥の剥製やら魚の模型やらが並んでいるのだが、 実物大の鳥や魚の中に、鳥と同サイズのヤゴの模型を混ぜておくのは、 悪趣味だからやめて欲しい。

かなり間違った和食

日本人の食卓? 海草の利用法の展示らしいのだが、 味噌汁を飲みつつ海苔巻きあられをおかずにご飯を食べる人というのは、 これまでお目にかかったことがない。味付け海苔(?)の食べ方もかなり変だし。 日本人の食生活がかなり誤解されている気がする。

続いて入った部屋はスカンジナビアの動物の展示室らしく、 ヘラジカやトナカイなど、 すでにスカンセンでおなじみの動物が剥製になって並んでいる。

狩をするヤマネコ ハトを捕らえた猛禽類

ただの剥製ではなく、 生態を再現するようなジオラマになっているのだが、 獲物に飛びかかる山猫はともかく、 ハトを捕らえた鷹(?)とか、トナカイかなにかの脚をくわえたクズリとか、 何気に悪趣味な演出が。

悪趣味な入り口

次に入った人体に関する展示室は、 入り口がいきなり人の口。 やっぱり悪趣味。

この部屋には標本類はほとんど置いておらず、 模型や実験装置を通して人体の仕組みを学ぶという、 体験型の展示になっている。

内臓パズル メタリックなガイコツ模型

悪趣味な内臓パズルと、手前のスイッチに反応して骨が動く骨格模型。 どうでもいいが、なぜ塗装がメタリックなのだろう。

動脈硬化モデル?

察するに動脈硬化のモデルらしい。 左の筒を反転させると、 澄んだ液体の中を赤血球のつもりらしい円盤がするっと流れるのだが、 右の筒は液体が濁っていて、円盤がゆっくりと動く。 筒の中央あたりの内壁にこびりついているのが、 コレステロールのつもりなのだろう。

シーラカンス

シーラカンスとヒクイドリの剥製の間を抜けて NaturKabinettetという小部屋に入る。

標本室?

哺乳類の骨格標本

ここは資料室のような部屋らしく、剥製や骨格標本が所狭しと並んでいた。 コアラやセンザンコウ、カモノハシ、ナマケモノあたりはわかったが、 なにせ説明文が読めないのでほとんどの動物は正体がわからない。

魚の骨格標本 小鳥の骨格組み立てキット?

芸術的な魚の骨格標本と、プラモデルみたいな小鳥の骨。

双頭の子牛

双頭の子牛の剥製。後ろに見えているのはその骨格標本。 ヘビぐらいならともかく、双頭の大型哺乳類がここまで育っているのは驚き。

乱獲?

資料的価値がよくわからん鳥の箱詰め。

ほかにも、見も蓋もない折りたたまれ方をしたワニの皮が置いてあったり、 ノコギリザメだかエイだかの、ノコギリの部分だけがいくつも積んであったりと、 収集意図不明の標本がいろいろと。

鉱物展示室

博物館というより宝石商のような鉱物の展示室。 ここもそれなりの量のコレクションがあるのだが、 これまでの部屋のようにヘンなものが置いてあるわけでもなく、 ごく普通の鉱物が並んでいた。

最後に宇宙関係の展示室に入る。 アメリカのように惑星探査機やら有人宇宙船やらを飛ばしている国ではないので、 展示はかなり地味。 宇宙食があったり、なぜか(スペースシャトルではなくスタートレックのほうの) エンタープライズのプラモデルが展示してあったり。 中立国で旧ソ連に近いためか、 アメリカと旧ソ連の両方の技術が混ざって展示されている。

この博物館には、Cosmonovaという全天周ドーム投影型の映画館が併設されている。 スカンジナビアで最大級と言うことで、見てみたかったのだが、 よく博物館で上映している短いおまけのような映画ではなく、 1本の上映時間が1時間という気合の入ったもの。 すでに体力が尽きていたので、見るのを断念し帰宅。



最終更新: 2004年 3月 16日 火曜日 19:18:37 JST

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