せっかくの日曜日なので市内観光に行く。 本当はもう少し落ち着いてからにしたいところだが、 ここでは冬になるにつれてどんどん観光しにくくなるようだ。 そもそも夏季のみ開業の施設も多いので、10月〜12月という今回の滞在期間では、 見られないところも多い。
ガイドブックを見ると、 電車や船で日帰りできるあたりも含めて面白そうなところは多いのだが、 天気が悪いので、屋外の施設は後日に回す。 とりあえずこの日は市内の偵察を兼ねて博物館巡り。
Kistaから地下鉄で市の中心部まで出て、 ストックホルムハウスという観光案内所でストックホルムカードというのを買う。 ストックホルムというのは妙なところで、 地図を見ると博物館が数十箇所もある。 歴史、自然史といった定番はもちろん、 武器、音楽、ダンスなど妙にピンポイントなものが市内にひしめいている。 で、入場料がそれぞれ50SEK前後するのだが、 24時間有効で220SEKのカードを買うと、たいていのところは入場無料になる。
しかし、結論から言うとこれは失敗だった。 最終的に回ることができたのは、国立美術館(Nationalmuseum)、 武器博物館(Arme Museum)、 歴史博物館(Historiska Museet)の3箇所 (どうでもいいが、「博物館」の部分が英語だったりスウェーデン語だったり バラバラなのはなぜ?)。 カードの値段からすると4つは回らないと元が取れないのだが、 多くの建物は冬季の短縮営業で 10:00〜16:00の間しか開いておらず、 よほど駆け足で回らないと数がこなせない。 市内のバスや地下鉄もカードで乗れるのだが、 市の中心部は博物館が集中しているので歩いて移動した方が早いし、 乗り物を使うほど遠い場所は移動時間のロスが大きい。 結局のところ、1,2日でとにかく主な施設を全部回ろうという観光客向けのカードか。 私のように、長期滞在なのでそれぞれの建物の中を全部回ろうなどと考える人間は、 個別に入場料を払ったほうが安上がりかもしれない。
最初に入ったNationalmuseumは、国立博物館かと思ったら美術館だった。 ゴッホ、モネ、レンブラント、 ゴーギャンといった有名どころの絵がごろごろしているので、 たぶん判る人には感動もののコレクションなのだろうが、 芸術品に疎い私には今ひとつ。 ただ、奥のホールのようなところに数メートルサイズの巨大な絵が並んでいたのは、 圧巻だった。 ここは撮影不可なので写真はなし。
1階の現代美術フロアは工業デザインもカバー範囲らしく、 スウェーデン産とおぼしき三輪車やノートPCまでおいてあるのは面白かった。 あと、素材が"gold, pearl, eggshell"というネックレスがあったが、 冗談なんだろうか? 卵の殻の端の方をいくつか重ねて真珠つきのピンでとめてあるという、 そのまんまな代物なんだが。 身につけたらバリバリ割れるよなあ。
つづいて本日の個人的目玉である武器博物館に行く。 人を選びそうなテーマなのでこじんまりしているかと思ったら、 甘かった。
入り口の脇に、無造作に大砲の砲身が並べてあるのに圧倒される。 戦車(?)とか装甲車(?)とか対空砲(?)もさりげなくあるし。
中は3階建て。スウェーデンはロシアの台頭前ぐらいの時代の大国なので、 コレクションもそのあたりの時代の大砲や銃器がメイン。 展示は人類の戦争の歴史をたどる、 という流れになっているのだが……だからってこんな時代から始めますか。 周りにはトールなど戦の神の像があり、不気味な音声まで流れている。
最初のほうはバイキング時代の錆びた剣やよろいなどがおいてある。 このあたりは数もそこそこでおとなしいのだが、 近代に入るとコレクションの量が膨大になる。
大部屋にずらりと並んだガラスケースに、剣やら銃やらがぎっしりと詰まっている。 武器マニアの人なら区別がつくのかもしれないが、 私の知識ていどでは、どれがなにやらさっぱり。 説明もスウェーデン語しか書いていない。
武器以外には実物大の再現模型や当時の衣服などがある。 写真のものは龍騎兵の制服らしい。 再現模型はなぜか戦場の光景よりも、 宿営地や兵舎、厩舎といった地味なものが多い。
余談だが、客も少なく静かな博物館だったので、 厩舎の馬(の実物大模型)がいきなりバケツか何かを蹴り上げたときは死ぬほど驚いた。 基本的に模型は動かないのに、なぜこんなところだけメカを仕込んであるんだか。
現代兵器もいくつかあったが、一番謎だったのがこれ。 無限軌道だが火器は見当たらない(屋根で兵士がバズーカか何かを構えている)ので、 雪国仕様の輸送車両だろうか。 手前のソファでテレビを見ているマネキンの存在が、非常に謎である。
この車両は2両が連結された格好をしているが、 街中を走っているバスも2両を繋いだ構成のものが多い。 スウェーデン人はこういうデザインが好きなのだろうか。
1階まで降りてくると、全体が広いホールのようになっていて、 真ん中には騎兵部隊らしきものがいる。
どうやらこの階が「大物」置き場らしく、 古いものから新しいものまで、大砲が並んでいる。 もしかすると由緒あるものも混ざっているのかもしれないが、 説明が読めないのでよくわからない。
ホールの隅には高射砲らしきものまで、無理やり押し込んである。
最後に歴史博物館に行く。バイキング関係の展示や黄金の間を駆け足で見たが、 時間がなくて回りきれず。後日再挑戦することにして帰宅する。 よって今回は写真もなし。
本日のお土産は武器博物館で買った、 大砲の模型とキーホルダー、剣を模したペーパーナイフ。 武器モチーフのアクセサリまで売っていたが、買う人がいるのだろうか?
大砲は緑青まで再現してあるあたり、芸が細かい。
最終更新: 2004年 3月 11日 木曜日 18:25:32 JST
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